「”たこシあ”って本当に起こるんですか?」モンハンワイルズ炎上と運営不信。🐔

ジャンル考察

「買い切りのゲームだから、信じて買った。」

そう思っていたプレイヤーにとって、モンスターハンターワイルズの初期体験は――ギャップそのものだった。

インタビューでは“たこシあ”のような偶発性を語り、進化したハンティング体験を掲げていた。
しかし実際に待っていたのは、固定された動線、劣悪なパフォーマンス、不安定なオンライン環境
ユーザーが期待していた「自由な狩り」とは、明確に異なる現実だった。

なぜ、期待は裏切られたのか?
そしてこのままでは、PSO2やパズドラが辿った“信頼崩壊”の道を、ワイルズもまたなぞることになるのではないか。

今もなお燃え続けているこの現状だからこそ、
一人のゲームユーザーとして、モンハンワイルズの現状を冷静に考察していきたいと思う。

売上はシリーズ史上最速

モンスターハンターワイルズ(以下ワイルズ)は、発売3日で800万本を販売するというカプコン史上でも屈指の滑り出しを記録した。
オープンワールド化した新生モンハンとして、多くのファンが「新時代の到来」に胸を躍らせていたことは疑いようがない。

インタビューでは、「隔ての砂原で偶然モンスターと遭遇」「目標を切り替える狩り」など、“偶発性”をキーワードにしたハンティング像が語られていた。
このコンセプトは、後にネットミーム「たこシあ」としても知られるようになる。

だが、ユーザー体験は、その理想から大きく逸脱していた。

「自由」ではなく「誘導」されたプレイ感覚

Steamでは発売当初こそ「賛否両論」に踏みとどまっていたが、アップデートを経た現在では「圧倒的に不評」が並ぶ。
その根本には、開発者が語った“理想のプレイ”と、実際のプレイ体験構造的な乖離がある。

「セクレトで移動し、NPCの話を聞かされ、目的地で討伐。やっていることは、単なるクエストの直線的処理だ」
「探索していたら面白いものを見つける…そんな体験は200時間やっても一度もなかった」

マップは広いが、探索による発見がほとんど存在しない。
見える範囲は広いが自由に進める場所は少ない。
環境的な自由度も、戦闘に対するバリエーションも、見た目のスケール感に反して驚くほど制限されている

本来、オープンワールドゲームがプレイヤーに提供すべきは「自分で選び、動いた結果の報酬やドラマ」である。
しかし本作は「最適な狩猟ルート」に沿って動くことが暗黙の前提になっており、選択の自由が設計上想定されていない

前作からの退化した新要素

ユーザーの失望は、アップデートでも解消されなかった。
改善されるべきポイントではなく、「どうでもいい新要素」ばかりが追加されていく。

  • モンスターの群れ → 戦術的価値がなく、演出にしかならない
  • キャンプ襲撃 → ゲーム性に寄与せず、不便を追加するだけ
  • 武器切り替え → 実用性が低く、テンポを崩すだけの存在
  • セクレト → ガルクの下位互換、狩猟中は役に立たないオブジェクト

前作『Rise』『Sunbreak』では、翔蟲による立体的な回避・技のカスタム性・疾替えなど、プレイヤーの判断を問う遊びが存在していた
だがワイルズでは、それらが悉く削ぎ落とされ、「集中モード」に集約された単調な戦闘サイクルへと変質している。

さらにスキル構築の自由度も大きく制限され、武器にしかつかないスキル、防具にしかつかないスキルと分けられ今までにあったスキル構築の自由度が奪われた。

的外れなアップデート

SF6コラボ“豪鬼”──「世界観重視」と言ったのは誰だったか?

ワイルズのディレクター・徳田氏は発売前のインタビューで、こう語っていた。

「“世界観”をとても大切にしています。違和感のない自然な体験を目指しました。」

しかし、ストリートファイター6とのコラボで登場した“豪鬼”は、その言葉と正面から矛盾する存在だった。

確かに豪鬼のモデルは高品質で、技の演出も丁寧に作られており、技術的完成度は高い。
だが、それが狩猟文化と生態系というMHワイルズの“世界観”に自然に融合しているかと問われれば、答えは否である。

「コラボが悪いんじゃない。“あれだけ世界観にこだわった”と言っておきながら、それを自ら壊していることが問題」
「違和感のない体験と言っていたのに、SFの波動拳が出てきたら白けるに決まってる」

このように、コラボそのものではなく、「開発の言葉と行動の不一致」がプレイヤーの反発を呼び起こした。

特に、肝心のゲーム体験の根幹にかかわる問題(テンポ、構築、探索)の改善が後回しにされている現状では、「なぜそこに全力を注げるのに、根本の改善には及び腰なのか?」という不信感をさらに強める結果となっている。

強制される水中戦 選択肢ではなくプレイヤーへの束縛

https://x.com/mh_wilds

かつての『MH3』を想起させる水中戦もまた、強く打ち出された追加要素の一つだ。
しかし、それがプレイヤーの自由な判断で潜れるものではなく、特定のモンスターや状況で必ず”やらされる”戦闘として実装されたことで、反発を招いた。

水中戦は操作性や視界の問題からシリーズ内でも賛否が分かれる要素だったが、私は個人的には好きだった要素だ。しかし、本作では「避けようがない水中戦が存在する」ことで、評価はより厳しいものとなっている。

「戦術としての選択肢ではなく、戦闘手段の“押し付け”になっている」

水中戦の復活はあくまで懐古や演出の一部として扱われるべきで、現代的な戦闘設計に合わせた再調整が行われないまま実装し強制される構造は、プレイヤーの不満の対象となっている。
完成していないなら提供しなければいいのではないだろうか?

「復活モンスター」の違和感 続投を復活と演出する不誠実さ

2024年6月末に実施されたタイトルアップデート第2弾では、「ラギアクルス」「セルレギオス」の登場が復活モンスターとして大々的に宣伝された。

「2体の復活モンスターが登場!本日より狩猟解禁!」
— Capcom公式X(@MH_Wilds)

この投稿に対し、プレイヤーからは次のような反応が相次いだ

  • 「前作にもいたじゃん、何が復活なの?」
  • 「使い回しなのに復活扱い?期待した分がっかりするわ」
  • 「新モンスターかと思ったら“ただの続投”か…」

ラギアクルスは2010年『MH3』で登場し、ワールド未参戦だったことから「満を持して復活」とするのは理解できる。だが、セルレギオスは直近の『サンブレイク』でも実装されていたため、「復活」とするには明らかに過剰な演出であり、情報の見せ方として不誠実さが残る

「外に出しただけ」のアイテムボックス 利便性への誤解

https://x.com/mh_wilds

UI・利便性強化の一環として、キャンプの外(フィールド)に設置されたアイテムボックスもある。
一見すると便利なように思えるが、プレイヤーからはむしろ「便利になった“ように見えるだけ”」という指摘が相次いでいる。

  • アクセスポイントが限定的
  • セクレト移動との組み合わせで時間ロス、テンポロスが発生
  • 装備は変更できず本質的なテンポ改善には繋がっていない

こうした細部の「ズレた改良」が積み重なることで、
「開発は本当にプレイヤーの動線を見ているのか?」という疑念が強まっている。

逆転している優先度 “面白さ”ではなく“話題性”のためのアップデート

これらのアップデートは、いずれも話題性はあるが、面白さには直結しないものばかりだ。
ユーザーが最も求めていたのは、「探索体験の充実」や「構築自由度の拡張」だったはず
しかし、実際に行われたのは「外観の賑やかし」や「実用性の薄い要素の追加」に留まっている

Steamの“圧倒的に不評”は、未完成なゲームに怒っているのではなく、完成度を上げる気配のないアップデートに、失望していることの現れだと思う。過去作でできていた事をアップデートと称し時間を稼いでいるだけにすぎない。真摯な対応を求めているユーザー離れは深刻だと感じる。

クラッシュしハードを破壊するワイルズ ソフトウェアとしての異常事態

モンハンワイルズが抱える最大の問題点は、ゲーム内容以前に、
「プレイすることで物理的にPCが壊れる」という実害の存在もある。

発売当初から、最適化不足だとさんざん言われてきて、相次ぐクラッシュ報告は多かったが実害としてハードウェアが壊れるという問題まで発生した。

Steamレビューには次のような証言が投稿されている。

初めてSteamでレビューします。
ゲームの内容に関しては、多くの方の指摘におおむね同意ですので、割愛します。
しかしそれだけで済んでいれば「ワイルズクソゲーだったな」くらいのことで私の中では消化できました。

PCのメモリが破壊されるまでは。
プレイ中にクラッシュ→
PCも全く操作を受け付けなくなりしばらく様子を見たが、仕方なく強制終了→
PC起動しなくなる、ブルースクリーン→
色々調べた結果、起動しないのはメモリの故障が原因と判明→
16Gのメモリの買い替えを余儀なくされる

といった経緯です。
当然カプコンのサポートに連絡しましたが「そんなことは考えにくい」の一点張りで最後まで誠意ある回答は得られませんでした。そればかりか「もしそれが本当なら他のユーザー全員のメモリが故障してないとおかしい」という暴論までぶつけられ、怒りと共にモンハンに対する熱、カプコンに対する期待感や信頼がすっと冷めていくのを感じました。

某配信者のPCが壊れた話は私も知っていましたが、対岸の火事と静観していました。
自分も同じ目に合うまでは。
もちろん、全体の割合からいえば某配信者さんも私もレアなケースであるとは思います。
しかし、カプコンが今後どんな声明を出そうとも、ハード破壊の危険性は確実にあると警鐘を鳴らすべくレビューに至りました。

この状況でなお「ワイルズ楽しめてる人もいるんだから悪く言うのやめろ」とか「どうせPCの方に問題があったんだろ」とか擁護している方々に言いたい。
自分の何万円もするハードを破壊されてもなお、同じことを言えますか?
他人の考えを変えようとまでは思っていませんが、同じ酷い目に合わないと見えない景色があるということだけはわかっていただきたいです。

丁度PCを処分したかった、という方以外にはおすすめしません。

このユーザーは「ゲームが面白くない」という次元で評価しているのではない。
「ゲームを起動した結果、数十万円のハードが故障し、サポートにも見捨てられた」という、製品以前の信用崩壊に怒っているのだ。

さらに、実際に配信中にPCがフリーズ・強制シャットダウンする配信者も数人の報告例ではあるが現れている。

いずれのケースも、「たまたま壊れた」可能性は否定できない。だが、こうしたクラッシュ被害の報告が複数存在するという事実、そして“ゲーム側が原因ではない”と断定するメーカーの姿勢に、
多くのプレイヤーは強い不安と不信を抱いただろう。

このような状況下で「お前のPCの構成が悪かったんだろ」と擁護するユーザー(ホイルズ)も現れて地獄絵図となっている。

ゲームのクラッシュは、パフォーマンス問題やバグとして片づけられることが多い。
だがワイルズの場合、「ハード破損リスクが内在するゲーム」としての認識が広がっており、
それがSteamの「圧倒的に不評」に拍車をかける構造となっている。

最適化がされずクラッシュを起こすゲームは他にも存在する。重いことで有名なStarfield、Cyberpunkでも、ゲームが起動しなくなることはあれどハードウェアに大きなダメージを与えたという事例は非常に稀なケース。
しかし「クラッシュしてハードを壊し、しかも公式が真摯な声明を出さないゲーム」は、
AAAタイトルとして前代未聞であり、ワイルズの最大の問題といえるだろう。

モンハンワイルズの運営対応に見るユーザーの信頼崩壊の構造

モンスターハンターワイルズの炎上は、ゲーム内容そのものに加えて、その後の運営対応のまずさによって決定的なものとなった。

ここでは、ユーザーとの信頼関係がどのように壊れていったのか、その一連の対応を時系列で整理しながら考察する。

CEDEC登壇中止 説明責任を放棄した運営

2024年7月、カプコンはCEDEC 2024におけるワイルズ関連セッションの登壇を急遽中止した。

「諸般の事情により、登壇を見送ります」
— CEDEC公式発表より

この発表は、すでにSteamレビューが「圧倒的に不評」へと転落していた時期と重なる。
本来であれば、技術的反省や改善方針を示すチャンスであったにもかかわらず、それを放棄した形となった。結果、「開発はユーザーの声に耳を傾ける気がない」という強い不信感を招いた。

勿論開発者を誹謗中傷から守る名目もあったと予想できるが、技術説明の機会を失った事実は大きい。

カスハラ声明:誠実さよりも“封殺”が先に見えた

CEDEC中止からほどなくして、カプコンは公式Xにて「開発者への誹謗中傷(カスハラ)」に対する声明を発表。内容は一見正論であるが、タイミングが非常に最悪だった。

ユーザーからの反応は

  • 「批判の声を“誹謗中傷”として封じようとしているのでは?」
  • 「不具合報告まで“迷惑行為”扱いされそうで怖い」
  • 「まずやるべきは改善であって、ユーザー批判じゃない」

本来守るべき開発者を盾にして、誠実な報告や批判までも封じるように映ったことが、多くのユーザーにさらなる不信を抱かせた。

クラッシュ問題:被害を“なかったこと”にした運営

最も深刻な問題は、「ゲームが原因とされるPCクラッシュ被害」に対する対応の欠如である。

SNSやレビューでは以下の報告が相次いだ

  • 起動中にPCがフリーズやブルースクリーン
  • GPU・メモリの故障報告(特定グラボ、CPUとの相性か?)
  • サポートへ問い合わせても「考えにくい」と回答される

一部の配信者においては、配信活動に支障をきたすほどの被害が出たにもかかわらず、
公式からは技術的説明も謝罪も出されていない。クラッシュは“誹謗中傷”ではなく技術的な深刻問題である。それすら誠実に取り合わず、「対応の気配すら見せない姿勢」は、プレイヤーの信頼を著しく損ねている。

昨今の誹謗中傷問題と、モンハンワイルズ運営の根本的な課題

まず明確にしておくべきは、開発者への誹謗中傷はどのような理由があろうと許されないということだ。ここまで時系列順にワイルズの対応を追ってきたが、もちろん、開発者が誹謗中傷を受けてよい理由にはならない。

「死ね」「ゴミ」「消えろ」といった人格攻撃は、たとえゲーム内容に不満があっても決して許されるべきものではない。実際問題、CEDECの講演中止や、公式からのカスタマーハラスメントに対する声明は、そうした過激な声が実在していることを物語っている。

しかし、問題はそこでは終わらない。

カプコンは、こうした声明を出す前に、「なぜユーザーがそこまで怒っているのか」「期待を裏切った事」について、正面から説明しただろうか?
数々の不具合、ゲーム性の乖離、クラッシュ報告……ユーザーが抱えていた疑念や怒りに対して、開発は一貫して沈黙を貫いた。

だが、開発が声に耳を傾けず、説明責任を果たさないままカスハラ声明を出すとどうなるか。

ユーザーはこう感じるようになる

  • 「正当な批判すら“誹謗中傷”扱いされて封じられるのではないか?」
  • 「不満を言えば通報対象になるのか?」

こうして「誠実な批判」と「感情的な誹謗」の境界が曖昧になり、
本来なら開発とユーザーが共に問題を解決すべき場が、敵意だけが残る戦場と化してしまったのがワイルズだ。

誹謗中傷が許されないのは当然だ。
だが、その根底にある怒りの理由を無視したまま「声を封じる」ような姿勢は、さらに状況を悪化させる。

このような状況になってもまだ信頼を築く方法は残っている。

現状を正確に認識し、ユーザーの声に正面から向き合うこと。その上で、明確な改善の意志と行動を示すこと

ユーザーの声を一方的に封じるのではなく、誠実に対話する姿勢こそが、いまワイルズに最も求められている対応ではないだろうか。

最後に

「未完成だから不満」ではない、「完成させる気配がないから絶望している」

ワイルズは確かに、挑戦的な構造と新機軸を掲げていた。
だが、ユーザーにとって最も重要なのは「言ったことを守ること」、そして「不満に耳を傾ける姿勢」だ。

Steamレビューの「圧倒的に不評」は、バグやクラッシュだけが原因ではない。
むしろ、期待されていた理想との構造的な乖離と、それに対する改善意志の薄さこそが最大の問題だ。

過去作でできていたことが消え、代わりに加えられたのは「ゲームテンポを崩すだけの要素」だった。
そのうえで、世界観にこだわると言った直後にSF6との豪鬼コラボを実施する。
そうした「言行不一致」への怒りが、今の低評価に繋がっていると思う。蓄積された違和感はやがて不満に、不満は怒りに、そして怒りは信頼の喪失へと変わっていくと身をもって体験できた。

これからどのような展開になるかはわからないが今後のモンスターハンターワイルズの大きな改善とアップデートに期待したい。


コメント

Copy Protected by Tech Tips's CopyProtect Wordpress Blogs.
タイトルとURLをコピーしました